Umbrella-Company BTL-900にキューボックスのステレオヘッドホン出力を接続する時に使用するYケーブルです。
「演奏者が自分のバランスでモニターするため手元でミックスしたい。」「CUE BOXのヘッドホンアウトは音質に満足できていないが機能的に必要。」「CUE BOXにはライン出力端子がないがBTL駆動で高音質にモニターしたい。」このような場合でもステレオTRS(ステレオフォン)→RCA×2(L/R)仕様の変換ケーブルを用いてヘッドホン出力から信号をもらいRCA端子に入力する事で、BTL-900で高音質BTL駆動ヘッドホンモニタリングが可能です。ここで「音が良くないヘッドホンアウトから信号をとっても高音質にはならないのでは?」「フォンプラグだからクロストークが良くないのでは?」と思われた方も多いと思います。たしかにCUE BOXのヘッドホンアンプがひじょうにお粗末であれば良くする事は困難ですが、ほとんどの場合はこの方法でもBTL-900を使う事で得られるメリットは十分に発揮できます。
機器の出力アンプは、負荷となる物のインピーダンスが変われば仕事の内容は変わります。CUE BOXのヘッドホン出力アンプには“ヘッドホンを駆動する”というヘッドホンアンプの仕事ではなく、 “音声信号を伝送する”というライン出力の仕事をしてもらいます。”ヘッドホンの駆動”は専門家であるヘッドホンアンプBTL-900に任せてCUE BOXの負担を軽くしてあげれば音質向上が十分に期待できます。
クロストーク特性悪化の原因はフォンジャックにあると上の方でご説明いたしましたが、それはヘッドホン駆動においての事であり、負荷となる物のインピーダンスが高ければ音声信号への影響は無視できる程度に小さくなります。ヘッドホンで起こるクロストークは、グラウンドの配線の抵抗値がヘッドホンのインピーダンスに対し大きな値であり、これが原因で音質劣化につながります。ヘッドホンは一般的に30Ω〜300Ω程度、それに対しグラウンドケーブルの抵抗値が1Ωであっても30Ωのヘッドホンに対しては3%と大きく影響します。BTL-900のアンバランス入力のインピーダンスは30kΩとヘッドホンより100~1000倍ほど高い値です。グラウンドのケーブルが同じ1Ωであっても0.003%と十分無視できる値でグラウンドが共通でも問題ではなくなります。このようにヘッドホンアウトからの信号でも高音質なBTL駆動ヘッドホンモニタリングが可能です。
ヘッドホン出力端子からライン入力につないで壊れないのかと聞かれる事もありますが、全く問題ありません。音声信号の伝送は“ロー出し/ハイ受け”が基本という事は聞いたことがあると思います。ヘッドホン出力のインピーダンスは一般的に1~数百Ωととても低く、対してライン入力は数十kΩ理想的な伝送条件となり、接続時の端子のショートさえ気を付けていただければ機器を壊す事はありません。